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いて協力関係がつくられており、2回目以降の開催においてはありぎりすのスタッフとの連携も円滑に行われている。
?B地域社会・コミュニティとのかかわり
地域社会からのありぎりすにたいする活動実績についての評価は低い。学校教育との関連から、当団体は子供会、YMCA、ボーイスカウト等の地域団体や市民セクターとの連携を望んでいるが、これらの市民セクターはそれぞれの組織の維持、構成員の管理、活動計画・実施等について独自のマネジメントを確立、実施しており、他の市民セクターとの連携あるいはコーワークにたいして消極的である。

 

(4) 考察
以上のことからもわかるように、国際交流団体というひとつの市民セクターをとっても、その組織形態や、管理体系は異なる。ましてや組織の運営方法、ボランティアスタッフの管理の仕方、資金調達、行政や地域社会との関係等、詳細項目についてはますます多様であることがわかる。4番目の分析視座であった「市民セクターの将来について」にかんしては、いずれの団体も今後も継続して熱心に活動を続け、次なる目標に精力的に取り組む意欲を顕示した、しかし、いずれも、まったく楽観的なヴィジョンを描いているわけではなく、活動スタッフや資金の将来的不足にたいする危機感や、税金や法人処遇等の現行制度の未整備にたいする不安を、少なからず抱いているのである。
前置きしたように、ここで事例として取り上げた3団体から、一般的原則、法則性を見いだすのはむろん無理がある、しかし、概していえることは、組織的に活動規模が広範にわたり、組織内の制度が充実している団体であるほど、行政からの信頼や評価は高く、連携も円滑に行われている傾向にあるが、必ずしも全面的に支援、補助を受けているとはいえないということである。市民セクター自身の自助努力があってこそ、行政からの信頼、支援を受けることができるのである。そして、国際交流活動を行う市民セクターでは、その活動の公共性、公益性の効果が見えにくく、かつ短期間に表面化してこないため、計量化による測定がやはり困難であることがわかった。したがって、現在行っている活動あるいはサービスの継続性の可否判定にかなりの時間を要していることがうかがえる。これは外部環境変化に対するレスポンス、機動性に支障を来し、組織の運営方針等のコアな意思決定を遅らせる危険性がある。そうしてなかには活動内容の有効性や外部からの評価も測定できないまま、「倒産なき組織」を維持し続けようと懸命に努力している市民セクター

 

 

 

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